top of page

terra°ce lab

小越 建典

読みやすいメールのレイアウト、プロのデザイナーが教えます!


突然ですが、読みやすいビジネスメール、書けていますか? メールは文章もさることながら、読み手にストレスをかけず、わかりやすく情報を伝えるレイアウトが重要です。

そこでヒントとなるのが、書籍や雑誌など印刷物を専門とする「エディトリアル・デザイン」。はたしてプロは、どのようにメールをデザインしているのか? cte.のエディトリアルデザイナー梅林がノウハウを語ります(聞き手はライターの小越)。



メールの読みやすさは「行の長さ」が握る


小越 梅林さんは、メールを書くときに、どんなところに注意していますか?


梅林 やっぱり、気になるのは行の長さですよね。長すぎると、視線を横に大きく動かさねばならず、読んでいる行を見失うことがあるんです。

エディトリアルデザインの世界では、例えば書籍はだいたい一行30文字前後でつくられています。

私はメールも大体同じくらいの感覚で、長くても40文字くらいで改行を入れるようにしています。


小越 雑誌や新聞は一行がもっと短いですよね。15〜20文字くらいで、いくつかの「段」になっています。あれは、なぜなんですか?


メールのレイアウト

梅林 写真や図版などをレイアウトするのに、好都合なのだと思います。加えて、短い行の繰り返しで、リズムを生み出す効果を狙っているのかもしれません。


小越 確かに! 視線がテンポよく上下(左右)することで、飽きずに、軽やかに読める気がします。メールでも、軽いコミュニケーションは、雑誌的に20字/行くらいで収めるのがよいのかも。


梅林 今の人は、LINEなどで端的な文章に慣れていますからね。ただ、メールは受信者が見るウィンドウ幅がまちまちですから、書き手が、改行を入れないといけません。文意が分かりづらかったり、誤解させるようなところで、文章を区切らないように注意しています。


小越 いっそ文章自体を短くすることに慣れるのも手ですね。私は書籍で書くときは、60字くらいを一文の長さの目安にしています。雑誌なら、もう少し短いかもしれません。

メールでは20〜40字くらいで「。」を置くクセをつければ、それだけで、ちょうどよく改行できそうです。



特に大事な情報は「見る」感覚で伝わるように


小越 書籍や雑誌では、改行することで段落を区切ります。メールやWebサイトでは、一行空けたり、行間を広げることで、段落を表現することが多いと思います。


梅林 それは、私もやりますね。


小越 ときどき、1〜2行で改行しているケースもみかけますよね。

梅林 スッキリ見えて読みやすいですね。反面、あまりに空白行が多いと、細切れ感が強くなり、文と文のつながりがわかりにくくなります。私の場合は、少なくとも3〜4行は続けるイメージで書いています。


小越 確かに。空白行が多いとケータイ小説のようで、ビジネスメールとしてはちょっと読みづらい。

一方で、マンガ家に聞いたことがあるのですが、彼らは「目が滑る」現象をすごく気にするそうです。ひとつのフキダシに文字が多すぎると、読み飛ばされてしまうんですね。たとえば、あるWebマンガの媒体では、1行は7文字まで、ひとつの吹き出しに入れるのは3行まで、という明確なルールがあるとか。


梅林 なるほど。それくらいだと、読むというより見る感覚で、情報を把握できますね。


小越 メールでも、目が滑ってはいけない情報がありますよね。それらは、マンガにならって、上下に空白行を付けて、端的な文章でまとめると、よいのかもしれません。



デザイナーは小さなスペースにこだわる


小越 大事な情報を強調するときは、【○○○】『○○○』などカッコが使われることがありますね。ただ、それがすごく多いメールはちょっと気になります。少しでも印象に残したいのでしょうが…


梅林 強調する意図のカッコなら、1メッセージにひとつかふたつが適切でしょう。カッコに限りませんが、強調が多すぎると強調になりません。


小越 そのとおりですね。

カッコといえば、私はメールの丸括弧()の表記は、ちょっと気を使っています。


小越 どのように?


梅林 全角だと、変なスペースが空いてしまい、続けて読めないんですよね。だから半角に切り替えて、()で書いています。


メールのレイアウト

(笑)のように感情を伴う表現だと、全角だとさらに興ざめしてしまいます。


メールのレイアウト

小越 なるほど!


梅林 書籍や雑誌では、丸括弧は全角で表記するんですけどね。エディトリアルデザインでは、文字間隔を詰める「カーニング」という作業を頻繁に行っています。

メールではそれができないので、わざわざ半角に切り替えてるんです。日頃の習慣で、間隔が気持ち悪くて…。


小越 そうなんですよね。私でも文字間隔が妙に開いていると、結構気になります。


梅林 反対にスペースを空けないと気持ちが悪いパターンもあります。多くのフォントでは、句読点の後、文章の区切りを視覚的にわかりやすくするため、実は小さなスペースが空いています。

でも、「?」「!」の後はスペースがないので、書籍や雑誌でも全角スペースを打つのがふつうです。メールでも、同じように全角空けるのがよいですね。


メールのレイアウト

年賀メールは句読点なしで!?


梅林 句読点といえば、年賀状をデザインするときには、「、」「。」は使わないのがルールなんですよね。

句読点は「終わり」や「区切り」を意味するので縁起が悪いとされます。また、そもそも毛筆では句読点を付ける文化がなかったとかで…


小越 そうなんですね! ビジネスのお年賀メールも、句読点なしで送ったらおしゃれですね。


梅林前述の理由も付記しておくと、年始のちょっとした話題になるかもしれません。


 

株式会社シーティーイーは、企業がつくる雑誌「コーポレートマガジン」を推進します。

詳しくはこちらまで。

最新記事

bottom of page