「自分の生き様のようなブランドを作りたい!と憧れて起業しました。しかし今思えば、私の頭の中には、売ることしかありませんでした」
多くの親戚が広島の酒造会社で働くという「日本酒家系」にうまれたナオライ代表の三宅紘一郎さん。
経済成長著しい時代の中国、酒販企業で働くなかで、ブランドの威力を目の当たりにしました。
世界的に有名な酒は、その名前だけで、飛ぶように売れて行ったと言います。
同じように、誰もが知る日本酒のブランドを、広島が誇る「日本一」の特産品とともに。
瀬戸内の穏やかな気候で育つレモン(全国シェア1位)を余すところなく使った、新しい酒をつくろうと考えました。
よいレモンを探すなかで出会ったのが、人口30人の離島・三角島です。
南側の急斜面で、太陽の光と瀬戸内の潮風をたっぷりあびて育った無農薬レモン。
一口含むと、その芳醇な香りと味に驚かされました。
「これなら皮まで使える!」「ブランドの構想にぴったりだ!」
そして、思いも寄らない提案を受けます。
「よかったら、ナオライがレモン畑をやってみないか?」
レモンは島の生産者から仕入れるつもりだった三宅さんは戸惑います。
農業は未経験。しかも、東京ドームほぼ1個分という広大な土地です。
しかし、三宅さんは農園を譲り受け、
一人でレモンをつくることを決意します。
「本当に一からブランドをつくるチャンスだ!」
農薬なし、化学肥料なしの有機農法。
背丈ほどの雑草は、刈っても刈っても、あっという間に伸びてきます。
農薬の使用をすすめられたこともありましたが、
三宅さんは無農薬を貫きました。
農園で泥まみれで働いていると、草木や虫、小動物、微生物と、
多様な生き物の存在を肌で感じられました。
彼らが豊かな土をつくり、果実を育て、一部は海に流れて、ミネラル豊富な潮風として還ってくる。
「本当にうまいものは、こうやってできているんだ…」
三宅さんは素晴らしい土を残してくれた島の人々に感謝するとともに、「自分が『人の方』ばかり向いていた」ことに気がついたと言います。
「自然の中」にある、目に見えない命の循環に、適切に人が入ることで、いい素材、いい酒ができ、その先に究極のブランドが育つのだと。
ひたむきな三宅さんの熱意は周囲に伝わり、島の人たちがレモンづくりを助けてくれるようになりました。
そして、手づくりのレモンと広島の日本酒を融合したスパークリング酒「MIKADO LEMON Sparkling lemon sake」が完成。
さらに、三宅さんはその開発の中で「低温浄溜」の手法に出会います。
日本酒を浄溜し、風味を残しながら熟成を可能にする第三の和酒「浄酎(じょうちゅう)」を生み出し、メディア等で大きな話題となっています。
日本酒の酒蔵を浄酎により応援し、
自社ブランドである浄酎も酒蔵や飲食店、消費者から
応援されるような関係性構築を目指しています。
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