2022年冬、起業して11度目の年末。
三澤は焦燥感とともにネットバンクの残高照会ページを閉じた。
「このままでは、まずい。
次の手を打たなければ」
席を立ち、向かったのは、オフィス近くのジム。
日課のランニングで汗を流し、
頭をからっぽにすると、
不思議と妙案が浮かぶのだ。
すると案の定、運命を変える決断が降ってきた。
「『債権回収サービス』に挑戦しよう」
三澤はオフィスに戻ると
すぐに営業担当者に
見込み客のリスト作成を指示。
その年の間に、アプローチを開始した。
「経営者を行動させる
一番の力は『残高』なんです」
三澤は当時を笑って振り返る。
「司法のDX」
一言で言えば、それが三澤のビジネスだ。
調停をオンラインで完結させる
日本初のサービスに
心血を注いできたが、
ビジネスは想像以上に厳しかった。
新たな道として思い描いたのが、
前述の「債権回収サービス」だった。
調停手続きの認証資格を活かし、法的知識と執行力をもって、
債権者である企業や団体と債務者の間にある
未収・未払金の問題を解決する。
実際に動くと、これが早々に成果を上げた。
2023年はじめに医療機関と契約すると、
未収金7割の回収に成功した。
債権回収は
あらゆる業種に共通する課題だから、
マーケットは広い。
サービスを本格スタートして半年あまりで取扱債権額は2億円に達したのだ。
と、言うと
アイデアが当たったようにみえるが、
それだけではない。
債務者との連絡手段、
電話のかけ方、
督促する封筒のデザイン、
債権者の業種や債務者の属性、
内部の効率化、自動化
etc…
多岐にわたる変数を
細かく改善しながら、
実績を積み上げている。
三澤は20代を演劇に費やし、
30代で大学に入って法律を学び、
上場企業の法務部長まで勤めるという
多彩な経歴を持つ。
俳優、法律家、起業家、
三澤のなかで一貫しているのは
「社会を変える」仕事であることだ。
なかでも、
残高の影に追われ、細かいことに気を配る
起業家の仕事は地味で泥臭いがーー
小さな日常の積み重ねの
先にこそ理想があると、
三澤は経営を通して知った。
良いと思ったことは、
何でもやる。いくつもやる。
なりふり構わず前進する起業家人生を
三澤は心から楽しもうとしている。
【理想と現実に立ち向かう】
おそらく自身も想像しなかった起業家の日常を
三澤さんはユーモアを交えて語ってくれました。
高い理想を持ちながら
泥臭い日々の仕事に
意欲を持って取り組む。
ビジネスパーソンを勇気づけてくれるメッセージが伝わってきます。
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