共感の時代に重要なのは、
「ビジネスモデル」ならぬ
「カルチャーモデル」だ!
カルチャー、つまり
「『らしさ』の解放」をミッションとし、
経営理念の策定から浸透を支援するのが
シンガリーのビジネス。
そんな同社のCOO橋本裕樹が
たどり着いた新規事業は
「インディカ米」だ。
東南アジアなどで栽培される
長細く香り高い品種の米。
これを、日本の農家とともに、
日本の水田でつくる。
東南アジアで、三期作されている
インディカ米は、温暖化の影響もあり、
日本でも十分に二期作が可能になるだろう。
インディカ米の中でも
高級品の「バスマティライス」は、
日本米の2〜3倍の価格で取引されるから
同じ品質でつくれば
米農家の収入は大幅に増える。
世界で流通する米の7割以上が
インディカ米だから、
将来的には輸出も可能になるかもしれない。
という理にかなったビジネスモデルだが…。
ことは、そう単純ではない。
まず、日本の市場を取らねばならないが、
日本食に合う日本米の代替にはなりづらい。
日本人の口に合い、
インディカ米の特性にも合う
メニューなどの用途開発、
つまり新しい食文化を提案して、
需要を創造しなければならない。
また、すでに鹿児島の水田で実験的に
インディカ米の二期作をはじめているが、
「インディカ米と日本米の間の長さで、
わずかに粘りのある米ができました(橋本)」
インディカ米として
世界での流通を見据えるなら、
品種改良は避けて通れない。
うまく行った瞬間に、
資本力のある企業が参入し、
市場をさらっていく可能性もある。
と、一部だけみても、かなり壮大な挑戦なのだ。
それでも、橋本は「自信がある」と言い切る。
背景には、
自身が米業界で長らくBtoBの営業に
従事していた経験がある。
「顕在需要がゼロからでも
売れるのは他社にない強みです。
ビジョンに賛同する人が
必ず使ってくれます」
と胸を張る。
そして、長崎の田園で育った
少年時代の原風景を語るのだ。
「夏の終わり、傾いた陽の光が差すと、
稲穂が垂れる水田がキラキラと輝く。
そんな田園の風景を守りたいんです」
そのために、農業を魅力的な産業にして、
農家と、彼らが営む水田を持続させると
意気込んでいる。
この事業は単に
「儲かるビジネスモデル」ではない。
橋本自身と、その脳裏に刻まれた
日本の「らしさ」を解放し、
農家や飲食店、消費者の
共感をガソリンに前進する。
彼らのいう「カルチャーモデル」の
実現なのだろう。
日本うまれのインディカ米は、
早ければ来年にも
市場に投入される予定だ。
【理念こそすべて】
「農業を100倍魅力的にする」が
この事業の理念。
日本の米づくりと美しい水田が守られるならば、
戦略・戦術の転換もあり得ると言います。
たとえば、つくるのは
インディカ米でなくてもよいし、
橋本さんが得意とする
BtoBの営業にもこだわりません。
裏を返せば、
それほど理念は強烈な軸であり、
そうでなければ共感も得られないと、
少なくとも橋本さんたちは考えています。
事業とは起業家の
覚悟そのものなのかもしれません。
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