衝撃の人事
ある夜、Mが経営する飲食店。
人材サービスを営むジョイントラボ社長の小森は、Mから人事の相談を受けていた。
そして…
「もう、Yは降格させる」
Mは小森に告げた。
当のYは、すぐ近くのキッチン、 会話が聴こえる距離で、黙々と仕事をしている。
あるいはMは、小森ではなく、 Yに話を聞かせたかったのかもしれない。
言われる方も、言う方もつらいだろうーー
小森はふたりの心情を察した。
Yは、Mが経営する飲食法人で、 10年にわたり幹部をつとめている。
「Yがいなければ、現場は成り立たない」
M自身が認め、深く信頼する経営者の「右腕」と言って良い存在だ。
それなのに、いや、だからこそか、Yは今、ひとり厳しい立場に追い込まれている。
Mが抱える最大の経営課題の 元凶であるかのようにーー。
退職者が止まらない…
同社の課題とは「採用しても辞める」人事の悪循環だ。
求人コストをかけて人材を採用しても、 入ってからが長続きしない。
直接的な問題のひとつがYにあることは、同社の採用活動を支援する小森にはよくわかっていた。
早期離職した人材に詳しく聞くと、「理由はYの言動」だということが、 しばしばあったからだ。
パワハラやセクハラの類ではないが、 Yには本人がいない場で、人のミスやスキル不足を指摘するクセがあった。
それを個人攻撃と受け取る スタッフは少なくない。
同じ問題を、もっと近くで、 Mは目の当たりにしていた。
直近では、Yを名指しで批判した 退職者が3人続いたという。
降格を考えるのはムリもないが…
「本質はそこではない」
小森は、もっと深いところにある 解決策を探していた。
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