おそらく、この記事をお読みいただいている多くの方は、成熟した産業のなかで戦っていることでしょう。ある程度、市場の成長が落ち着いて、それなりに競争の厳しい環境です。そのなかでブレイクスルーして、大幅にシェアを獲得したり、新たな市場を創造するのは簡単ではありません。
オープンイノベーションは、そんな状況を打ち破るのに有効な手法です。現代ビジネスの課題を、すべて自社の技術やアイデアで解決するのは難しいもの。一部の大手企業などは、一辺倒な自前主義をやめて、うまく外部の研究者やベンチャー企業と共創しています。一社のプロジェクトに、他の企業が参加して課題解決するこの取り組みは、「オープンイノベーション1.0」と呼ばれます。
そして今、「オープンイノベーション2.0」が注目されています。1.0が1対1の関係であるのに対し、2.0は多対多の構造を持ちます。例えば、terra°ceラボでも紹介した「AIスーツケース」(視覚障害者を誘導するスーツケース型のロボット)は、IBM、オムロン、アルプスアルパイン、清水建設らが参加するオープンイノベーション2.0で進められています。カメラやセンサー、画像認識AI、触覚技術など多様な技術が必要なので、各社がそれぞれ得意な技術を持ち寄って、プロダクトを実現しようとしているのです。
ポイントは、視覚障害者のサポートが、いずれの会社の事業ドメインでもないこと。社会にあるべき、あったらいいプロダクトのために、新たに課題を設定し、対等な立場で共創しています。
社会の多様化に伴って、従来の産業、企業の枠組みでは、そもそも解決できない課題が、あちこちに現れています。その多くは、新しいビジネスチャンスンでもあります。成熟した産業の、ことに中小企業は、オープンイノベーション2.0に活路が見いだせるのではないでしょうか。
解決する課題は、壮大なものでなくても構いません。地域の課題を発見し、地元の飲食店や商店と一緒に、けれど今までにないやり方で解決するなど、身近なアイデアを練ってみるのも一興です。
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