2022年1月、一般社団法人国際連携推進協会(国連協)は会報誌「tomonist(ともにすと)」を創刊しました。読み応えのあるマガジンスタイルで、事例取材や識者へのインタビューを盛り込んだ充実の内容に。事務局長で制作を主導した栗田貴善さんに、企画の意図や成果を聞きました。
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外国人人材から再び「選ばれる国」となるために
私たち国際連携推進協会(国連協)は、「選ばれる国、日本へ」を理念とし、2018年に設立されました。外国人人材の支援、雇用主の監督を担う56の監理団体が所属。日本最大級の業界団体です。
かつての日本は、外国で働きたいアジアの人たちから「選ばれる国」でした。しかし、求人を出せば人が集まる時代は終わり、現在では外国人技能実習生などを募集しても、定員割れするケースが増えています。そればかりか、周辺国の賃金・待遇が上昇しているため、「日本以外ならどこでもよい」という声すら、ASEAN諸国の労働者からは聞こえてきます。
「選ばれない」状況を変えるには、賃金を上げられれば良いですが、現実には難しい。ならば、日本で暮らす外国人人材の生活を向上することが必要です。そのための具体的な支援と、雇用主への情報発信が、私たちの重要な役割となっています。
外国人労働に対しては、犯罪や事故、失踪などバッドニュースが発信されるたびに、ネガティブなイメージが蓄積しているようですが、それはごく一部のこと。日本で幸せに働き、母国に帰って活躍している外国人は大勢いるのに、そのことはニュースにはなりません。
雇用主、一般の方を含む日本の人たちが、必要以上に悪い心象を持って外国人に接するのは、どちらにとっても不幸なことです。
外国人雇用の課題を解決する「ブリッジ人材」に焦点
「tomonist」では、外国人人材の働き方や待遇改善で、特に素晴らしい取り組みを行う企業を紹介しています。CTEの藤田陽司さんが提唱する「コーポレートマガジン」のアイデアがヒントになりました。
配布は無料で、ターゲットは外国人を雇用している企業と、雇用を検討している企業。監理団体を通じて企業に届けてもらうとともに、私たちが出店する展示会でも配布しました。
巻頭企画では、株式会社スーパーアルプスの事例取材を行いました。同社は、ベトナム人実習生のサポートを専任するベトナム人女性のチャンさんを雇用しています。
外国人人材が日本で働く上で、コミュニケーションは大きな課題。通常は、外国人の上長は日本人が務めますが、日本語での意思疎通は簡単ではありません。
そこで、日本語とベトナム語の両方を話せるチャンさんを間に配置することで、業務の効率化を図りました。実習生たちはチャンさんになら、仕事のことや日常の小さな困りごとなど、気軽に相談できます。ベトナム人同士の不満の調整、女性ならではの健康ケアという点でも、非常に大きな役割を担うようになりました。
チャンさんのように、外国人が働く企業で、言語や文化の架け橋となってコミュニケーションを円滑化する人材を「ブリッジ人材」と呼びます。実は、これまでも企業側はブリッジ人材へのニーズは持っていたものの、どう活用すればよいのか、どこに行けば会えるのか分かりません。監理団体に相談しても、詳細な事例は見えてこないのが実態でした。
しかし、「tomonist」の記事コンテンツを読めば、自社でブリッジ人材を活用すると経営がどう変わるのか、具体的にイメージしてもらえます。その上で、当協会に相談していただければ、よい人材を紹介できる体制も整えています。
現実を正しく発信する価値
外国人人材や受入制度に対して、漠然とネガティブなイメージを持つ人が多いと感じています。よくよく話してみると、大抵は事実が正しく理解されていないだけなのです。
そんな中で、情報の充実したマガジンは、とても良い手法だと実感しました。監理団体からは「tomonist」を配布したことで、「正しく使えばよい制度である」「自社でも活用してみたい」など、企業側の理解が進んだという報告を受けています。
課題は制作の労力です。今回は当協会が取材・編集し、CTEにはデザイン、レイアウトをお願いしましたが、自分たちでコンテンツをつくるのは大変でした。制作体制を整えつつ、今後も発行を予定しています。
栗田さんからは「外国人人材の受入れにつきまとうネガティブなイメージを払拭したい!」と相談をいただき、マガジンスタイルの冊子を提案しました。社会課題をとらえたコンテンツには、業界を俯瞰する国際連携推進協会さんならではの視点が盛り込まれており、「これぞ法人が情報発信する意義だ」と再認識させられました。
CTEは企画や取材、記事の執筆も得意としており、今後はコンテンツ制作も合わせて、事業の発展をお手伝いしていきたいと考えています。
株式会社シーティーイーは、企業がつくる雑誌「コーポレートマガジン」を推進します。
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