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小越 建典

プロパガンダとPR


国際情勢が緊迫する中、「プロパガンダ」のワードが、メディアで飛び交っています。権力者の政治的な宣伝活動、特に虚偽や誇張も含めて、国や集団にとって有利な情報発信を指しているようです。

悪質な意味でのプロパガンダを最初に体系的に行ったのは、実は第一次世界大戦時の米国だと言われています。広告やPRの専門家、ジャーナリストなどが、政府の戦時宣伝に協力しました。

PRの父エドワード・バーネイズもそのひとりですが、戦後、政府の情報にかなりの誇張や虚偽が含まれていたことを知ります。そこで彼は、1928年に「プロパガンダ」を出版しました。


元来プロパガンダという言葉に悪いニュアンスはなく、バーネイズはPRとほぼ同じ意味で使っています。本書には、現代のPRにも参考になるストーリーが描かれています。


例えば、女性の喫煙がタブー視されるなか、女性モデルがタバコを「自由の松明」として持ち行進した事例。自由の女神を想起させ、女性は男性と対等である、抑圧から開放されるべきである、というメッセージを発信します。結果、女性の喫煙率が上がりタバコが売れる、というPRでした。


PR

ビジネスのために考えられたPRや広告、マーケティングのノウハウは、そのまま悪質なプロパガンダにも使えます。テクノロジーの活用も含め、コミュニケーションの手法は日々洗練され、巧妙になっているだけに、使い方を間違えると大変な害悪にも。

信念と倫理観をどんなときも忘れてはならないと、再認識させられる日々です。


プロパガンダ[新版]

エドワード・バーネイズ (著)、 中田安彦(訳)


 

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